フェアトレードが守るべき原則もまた多様ですが、2009年に世界二大フェアトレード連合体(WFTO=世界フェアトレード機構とFLO=国際フェアトレード・ラベル機構)が「フェアトレードの原則に関する憲章」を制定しました。
憲章は「確信をなす原則」として次の5原則を掲げています。
①疎外された生産者への市場アクセスの提供
通常であれば市場から締め出されてしまうであろう生産者と購入者が取引することを可能にし、取引の連鎖を短くすることで、最終小売価格のうちより多くの分け前を生産者が獲得できるよう手助けする。
②持続的かつ公正な取引関係
生産者と労働者が持続的な生計を維持すること―経済・社会・環境を日々良好に保つというニーズを満たすだけでなく、それらを将来に向けて改善すること―を可能にする。情報の共有や計画づくりを通して生産者と消費者が協力し合えるような長期的なパートナーシップにコミットする。
③ 能力強化とエンパワメント
生産者組織が市場の状況や動向をより良く理解するとともに、自らの生活をコントロールし、変えていくために必要な知識や技能、資源を開拓していくことを支援する。
④ 消費者の意識向上とアドボカシー
社会正義の必要性や変革の機会があることを消費者に知らせるための礎を提供し、国際貿易のルールを幅広く改革するためのアドボカシー活動やキャンペーンを繰り広げる。
⑤ 「社会契約」としてのフェアトレード
フェアトレードは、公正な価格の支払、前払、能力強化への支援等に消費者が同意する当為暗黙の『社会契約』の中で行われる。それに対して生産者側は、フェアトレードからの果実を社会・経済的状況の改善、とりわけ組織の中で最も不利な立場に置かれた生産者の状況の改善に活用する。
*1 WFTO and FLO International, “A Charter of Fair Trade Principles,” 2009.
詳細は、渡辺龍也『フェアトレード学―私たちが創る新経済秩序』(新評論、2010 年 5 月) pp 105~106 参照。